概日リズム睡眠障害、これは現代社会の中で一番多く、現代社会を顕著に特徴づけている睡眠障害です。結論から言うと、子供から大人まで広く蔓延しており、20%~25%程度の人が不眠や睡眠障害に陥っていると言われています。
概日リズム睡眠障害の中には、下記のようにいくつかの種類があり、その中でも一番多いのが、睡眠相後退症候群です。
1.睡眠相後退症候群
2.睡眠相前身症候群
3.交代勤務睡眠障害
4.非24時間睡眠覚醒症候群
5.不規則型睡眠覚醒パターン
6.時差ぼけ (前述)
睡眠相後退症候群で悩んでいる人の中は、夜寝ようとしてもなかなか寝られず、そのため、朝起きれず、昼前や午後に起きたりします。夕方起きてきて、朝型に寝るパターンになると、昼夜逆転となって、一番時間がずれてしまう場合です。
その他の症状の場合も、特徴としては、人間が本来持っている生体リズムが正しく働いていない状態に陥り、健全な社会生活が出来ない状態になります。いずれの場合も、現代社会の持つ特徴に起因する場合が多く見られます。
概日リズム睡眠障害は、1990年代から多く見られるようになりました。社会全体が24時間眠らない街に変化し始め、また、ゲームや携帯電話の普及に伴って夜遅くまでそれらを使用して夜更かしする夜型生活化も進行し、ビジネスマンはかつて無いほどの強いストレス環境のもとで長時間にわたり仕事をするようになり、これらの要因が、人間の生体リズムを狂わせ始めたことによると言われています。
このような状態になると、人間の自律神経が休まる時間がなくなり、絶えず交感神経が働いて、副交感神経の出番が無くなってくるのです。そうすると、脳が休まる機会が減少し、睡眠障害となって現れてくるのです。家に帰っても脳の緊張が解かれないでなかなか寝入ることができず、眠っても眠りが浅くて夜中に目が覚めやすく、朝起きれないという状態になってきます。
子供の場合も、塾通い、携帯電話、ゲームと、夜更かしする要因が3拍子揃ってきたため、睡眠障害になる場合が増えてきたのです。「寝る子は育つ」ということわざがあるように、子供の場合は、寝ている間に成長ホルモンが分泌されて成長が促されますので、睡眠障害や不眠になるということは、健全な成長が阻害されているという意味では、大変重大なことなのです。
皆さん、厚生労働省が主導している「健康日本21」という国民健康づくり運動をしっていますか?ほとんどの人は聞いたことが無いですね。しかし、厚生労働省もこのような状況を危惧して、心の健康づくりと睡眠に重点をおいた活動を展開しています。睡眠学会の学術集会に出席すると、その研究報告はわかるのですが、現場への展開や法律への展開という点での成果を身近で感じられないのが残念なところです。