睡眠障害の影響は、多岐にわたっておきます。眠くて辛いということは睡眠不足の症状として誰にも想像しやすい物ですが、睡眠の持つ生命維持機構を考えると、様々な面にいろいろな形で表れてくるのです。
最近、睡眠が、生活習慣病に影響を与える重要因子として行政レベルで認識されました。生活習慣病というと、肥満、糖尿病、高血圧、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞などがあり、睡眠障害や不眠は、たばこ、飲酒、運動不足と同様に悪影響を与える因子として定義されたのです。その上、睡眠は産業事故やうつ病との相関関係があるとうことで、その重要度は、他の項目異常かもしれません。
睡眠障害や不眠になると、体力が弱り、すぐに疲れるようになります。睡眠障害がけいぞくしていれば、エネルギーの蓄えがなくなり、自律神経やホルモンのバランスが崩れて、免疫力が低下し、様々な症状が現れてきます。
先に説明した、生活習慣病やうつ病が、そのような症状に該当します。たとえば、うつ病の場合であれば、体力の低下にかぎらず、精神的に通常の反応を示さなくなります。落ち着きがなくなったり、不安感が強くなって気持ちが暗くなり、些細なことにも怒りやすくなります。心身ともに疲労を感じ無気力になり生気が失われます。
また、睡眠障害や不眠になると、集中力が極端に低下してしまうので、行動面でも影響がでてきます。交通事故の危険率が上がり、仕事の判断ミスや怪我などに至ります。また、通常だと簡単にできることも失敗しやすく、時間も長くかかるようになります。
そして、最近特に問題になっているのが子供の睡眠障害です。現代の社会事情や塾・携帯電話・ゲームなどにより、朝起きれなくて困っている子供が多発しています。そして、状況が複雑化して問題が深刻になると、慢性疲労症候群の症状がでて不登校に陥る子供も多くなってきています。子供の時代に睡眠障害や慢性疲労症候群にかかると脳の発達に良い影響を与えるはずがありません。したがって、子供の睡眠障害には特に注意が必要なのです。
このように、睡眠障害や不眠になると危険が伴うことが多くなるので、早めに前節で説明したような専門医の診断を受けるべきでしょう。