耳から光を照射して光療法と同様の効果(概日リズム睡眠障害、冬季うつ病)をうたっているValkee(*)ですが、ついに効果無しという結論が出たようです。
*正式名称:ブライトライト・セラピー機器ヒューマン・チャージャーValkee2
Yahoo知恵袋で、これまでのような体験談や感想といった曖昧なものではなく、客観的評価試験を行った複数の文献で効果が無いという結論が既に出されていることが説明されています。
Valkeeは体内時計を調整して睡眠のリズムや時差ボケを改善することを訴求していますが、日本睡眠学会の機関誌(2016年1月)でその効果が否定された文献が掲載されたわけですから、もはや疑いの余地がありません。信頼性の高い文献しか学会誌には掲載されませんから。冬季うつ病の改善効果に関しても同様です。
効果無しの決め手は
それにしてもビックリしたのは、Valkeeはヨーロッパでは医療機器として認可されたにもかかわらず、その評価方法が被験者の「主観的」な評価(感想)だけで、「客観的」評価がなされていなかったということです。これでヨーロッパの当局が、医療機器として認可してしまうことに驚きます。
体内時計の前進・後退、つまり、時差ボケや概日リズム睡眠障害を客観的に評価する場合、睡眠パラメーターといわれているメラトニンや深部体温を測定してどのように変化したかを調べるのが一般的ですが、それらの評価を行っていなかったようです。
さらに、耳から光をを照射するという新しい方法であれば、世界中で認知されている高照度光療法(ブライトライト・セラピー)の場合との比較評価もあってしかるべきですが、その評価試験に関する文献も発表していません。
Valkeeはヨーロッパだけではなく、アメリカでも医療機器申請を行いましたが却下されています。アメリカでは医療機器として認定されなかったという事実は、これまでほとんど伝えられてきませんでした。
関連情報: valkeeという機器がうつに効果うつ病に効果があるか
Valkeeに翻弄された消費者
Valkeeは、さんまの「ホンマでっかTV」で取り上げられてから非常に話題になりました。ヨーロッパでは医療機器として認可されていたので、メディアが取り上げても不思議ではありません。初期の頃は、個人輸入して苦労して入手していた人も多かったようです。今でこそヤフーオークションに多く出品されていて容易に手に入りますが。
「ホンマでっかTV」の後、ネットでは、効果がある、効果が無いと、実際に使用してみた様々な感想が発信され、ここ3年間くらいの間はこれらの情報に皆が翻弄された感があります。客観的な試験データが無かったのですから無理もありません。
ヨーロッパでは医療機器だから効果があると思い込んで(プラセボ効果)継続的に使用している人もいるでしょうし、まだこれから購入しようと考えている人もいるでしょう。しかし、ここに来て客観的なデータが示されたことで、この議論にもやっと終止符が打たれたようです。