1990年代ころからうつ病という言葉をよく耳にするようになり、現代社会に急速に広がっているのはご存知の通りでうす。
うつ病は「心の風邪」と言われるほど、誰でもかかる時代になりました。しかし、その名前とは裏腹に、一度かかると風邪どころの簡単な話ではなくなり、深刻で人生を左右するほどの影響力をもった病気となるので、事前に自己防衛することがとても大切になります。
大変困ったことに、子供の世代にまでうつ病が広がっています。13歳以下の子供の10%、幼児の5から10%がうつ病というちょっと信じられないような調査結果があるようです。大人の世界が歪んでうつ病が多くなると、自然と子供の世界へもそれが波及して、同じような現象が起きてしまうのでしょうか。
うつ病の主な症状は、心身の疲労感があり、全身がだるく、とにかく何もやる気が出ないというのが一般的です。言葉で言うのは簡単ですが、うつ病にかかった方に聞くと、言葉では表現できないほど深刻な状態となるそうです。そして、特徴的なのは、その90%の人に睡眠障害が併発するということです。また、摂食障害を伴う方も多いそうです。
特に、うつ病と睡眠障害の関係は、相互関係があると公的にも言われだし、それぞれが密に関連しあっています。したがって、うつ病を治すには、うつ病の治療と睡眠障害の治療を同時に行って、相乗効果を上げていくことが重要となります。
最近、うつ病治療に光療法を適用するというアプローチが注目されています。以前は、うつ病治療の方法としては論議がありましたが、有田秀穂 博士(東邦大学医学部 統合生理学教授)などは、著書の中で昔から光の効用について説いています。光療法はもともと睡眠障害の治療法が主ですが、最近、強い光を浴びるとセロトニンが多く分泌されるという報告があり、うつ病の治療にも効果を発揮する可能性が高いという報告が続いているようです。これと抗うつ剤を併用して相乗効果を上げれば、うつ病治療も従来よりも効果的に行える可能性があります。
そうはいっても、光療法がうつ病に必ず効果あるかというとそうではなく、光療法を受けても変化が無い方もおられるようです。これは抗うつ剤も同様で、効果の出る方と出ない方がおられるのですね。しかし、軽うつ病の時期には光療法の効果が出やすいという報告があり、試してみる価値はありそうです。